建設業許可を新規で取得する場合、まずは自社が扱う工事が建設業法上のどの業種に該当するのかを検討する必要があります。
建設業許可には29種類の業種が存在しています。その中でもとび・土工・コンクリート工事について解説します。
建設業法上のとび・土工・コンクリート工事とは?
建設業許可事務ガイドラインによると、とび・土工・コンクリート工事は以下のように定められています。
①足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物のクレーン等による運搬配置、鉄骨等の組立て等を行う工事
②くい打ち、くい抜き及び場所打ぐいを行う工事
③土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事
④コンクリートにより工作物を築造する工事
⑤その他基礎的ないしは準備的工事
とび・土工・コンクリート工事とは具体的にどんな工事なのか?
とび・土工・コンクリート工事は例えば以下のような工事が該当します。
①とび工事、ひき工事、足場等仮設工事、重量物のクレーン等による揚重運搬配置工事、鉄骨組立て工事、コンクリートブロック据付け工事
②くい工事、くい打ち工事、くい抜き工事、場所打ぐい工事
③土工事、掘削工事、根切り工事、発破工事、盛土工事
④コンクリート工事、コンクリート打設工事、コンクリート圧送工事、プレストレストコンクリート工事
⑤地すべり防止工事、地盤改良工事、ボーリンググラウト工事、土留め工事、仮締切り工事、吹付け工事、法面保護工事、道路付属物設置工事、屋外広告物設置工事、捨石工事、外構工事、はつり工事、切断穿孔工事、アンカー工事、あと施工アンカー工事、潜水工事
などです。
とび・土工・コンクリート工事で建設業許可を取得するための要件は?
とび・土工・コンクリート工事の建設業許可を取得するためには、要件は以下の通りです。
- 建設業に係る経営業務を適正に行うに足りる能力を有すること(経営上の責任者がいる)
- 営業所に専任技術者がいること(技術上の責任者がいる)
- 誠実性を有すること
- 財産的基礎を有すること
- 欠格要件に該当しないこと
- 適切な社会保険に加入していること
とび・土工・コンクリート工事の建設業許可を取得する場合でこれらのすべての要件を満たす必要があります。
この中でも「1.建設業に係る経営業務を適正に行うに足りる能力を有すること(経営上の責任者がいること)」「2.営業所に専任技術者がいること(技術上の責任者がいること)」が特に複雑で、「とび・土工・コンクリート工事を施工するために必要な経営の責任者と技術上の責任者がいます」ということを証明していかなければなりません。
経営上の責任者になれるのはどのような人か?
経営上の責任者のことを経管(けいかん)と呼ぶこともあります。とび・土工・コンクリート工事において経管になることができるのはどのような人なのかを解説したいと思います。
- 建設業に関し5年以上の経営業務の管理者としての経験がある人
- 建設業に関し経営常務の管理責任者に準ずる地位で5年以上の経営業務を管理した経験がある人
- 建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位で6年以上経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験がある人
法人であれば常勤役員の中の誰かが、個人事業主であれば事業主本人が、上記の要件のいずれかを満たしていれば経管になることが出来ます。
上記の要件を満たす人がいない場合でも、複数の人の経験等を合わせて、一人では要件を満たすことが出来なくても組織としてなら経営業務の管理体制を整えることが出来そうだということを証明できれば許可を取得できる可能性もあります。
それは以下のようなパターンです。
- 建設業の財務管理、労務管理又は業務運営のいずれかの業務に関し、建設業の役員等の経験2年以上を含む5年以上の建設業の役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位における経験がある人
- 建設業の役員等の経験2年以上を含む5年以上の役員等の経験があるひと
上記のどちらかの要件を満たす人に加えてさらに、経営業務の管理業務を「直接補佐補佐する人」を配置する必要があります。直接補佐する人とは次の通りです。
- 財務管理の業務経験、労務管理の業務経験、運営業務の業務経験について5年以上の実務経験がある人
- 一人が複数の経験を兼ねることが可能
- 実務経験は申請会社での経験である必要がある
- 「直接補佐する人(立場)」である必要がある
とび・土工・コンクリート工事の専任技術者になれる人はどのような人か?
技術上の責任者のことを専技(せんぎ)と呼ぶこともあります。とび・土工・コンクリート工事において専技になることができるのはどのような人なのかを解説したいと思います。
とび・土工・コンクリート工事に関する国家資格を持っている人
- 1級建設機械施工管理技士
- 2級建設機械施工管理技士 (第1種~第6種)
- 1級土木施工管理技士
- 1級土木施工管理技士補 + 3年以上のとび・土工・コンクリート工事に関する実務経験
- 2級土木施工管理技士(土木・薬液注入)
- 2級土木施工管理技士(鋼構造物塗装) + 5年以上のとび・土工・コンクリート工事に関する実務経験
- 2級土木施工管理技士補 +5年以上のとび・土工・コンクリート工事に関する実務経験
- 1級建築施工管理技士
- 1級建築施工管理技士補 +3年以上のとび・土工・コンクリート工事に関する実務経験
- 2級建築施工管理技士(躯体)
- 2級建築施工管理技士(建築・仕上げ) +5年以上のとび・土工・コンクリート工事に関する実務経験
- 2級建築施工管理技士補 +5年以上のとび・土工・コンクリート工事に関する実務経験
- 1級造園施工管理技士 +3年以上のとび・土工・コンクリート工事に関する実務経験
- 1級造園施工管理技士補 +3年以上のとび・土工・コンクリート工事に関する実務経験
- 2級造園施工管理技士 +5年以上のとび・土工・コンクリート工事に関する実務経験
- 2級造園施工管理技士補 +5年以上のとび・土工・コンクリート工事に関する実務経験
- 建設 ・ 総合技術監理(建設)技術士
- 建設 「鋼構造及びコンクリート」 ・ 総合技術監理 (建設 「鋼構造及びコンクリート」 )技術士
- 農業 「農業土木」 ・ 総合技術監理 (農業 「農業土木」 )技術士
- 水産 「水産土木」 ・ 総合技術監理 (水産 「水産土木」)技術士
- 森林 「森林土木」 ・ 総合技術監理 (森林 「森林土木」)技術士
- 型枠施工技能士(2級の場合は3年以上の実務経験が必要)※平成16年4月1日以前に合格していた場合は実務経験1年以上
- とび・とび工技能士(2級の場合は3年以上の実務経験が必要)※平成16年4月1日以前に合格していた場合は実務経験1年以上
- コンクリート圧送施工技能士(2級の場合は3年以上の実務経験が必要)※平成16年4月1日以前に合格していた場合は実務経験1年以上
- ウェルポイント技能士(2級の場合は3年以上の実務経験が必要)※平成16年4月1日以前に合格していた場合は実務経験1年以上
- 地すべり防止工事技能士(2級の場合は3年以上の実務経験が必要)※平成16年4月1日以前に合格していた場合は実務経験1年以上
- 基礎ぐい工事技能士(2級の場合は3年以上の実務経験が必要)※平成16年4月1日以前に合格していた場合は実務経験1年以上
※色付きの資格は特定建設業の専任技術者になることが出来ます。その他の資格は2年以上の指導監督的実務経験が必要です。
1級土木施工管理技士補に関して10年以上の実務経験があること
とび・土工・コンクリート工事について10年以上の実務経験があれば専技になることが出来ます。ただし、複数業種の許可をいずれも実務経験で許可を取得する場合は、その実務経験期間は重複させることが出来ません。
とび・土工・コンクリート工事に関連した指定学科を卒業後一定期間の実務経験がある場合
【とび・土工・コンクリート工事の指定学科】
- 土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。)
- 建築学
【実務経験の年数】
- 大学卒業 + 3年以上の実務経験
- 高等専門学校卒業 + 3年以上の実務経験
- 高等学校卒業 + 5年以上の実務経験
その他の許可要件
その他に、誠実性の要件、財産的基礎要件、欠格要件に該当しない、適切な社会保険加入という4つの要件を満たす必要があります。
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