こんにちは。佐賀県の建設業専門行政書士、天山恵理子です。
令和5年1月より、経営事項審査に関する法改正が行われました。
改正の内容としては、担い手の育成確保・災害対応力の強化・環境への配慮という点を後押しし、適切な取り組みを行う企業を評価していきましょうというものです。
それでは1つずつ確認していきましよう。
監理技術者講習の経審上の加点内容改正
実はこちらの項目については、もっと前の令和4年8月から適用されていました。
監理技術者として経審上加点されるためには、定期的に監理技術者講習を受信する必要があり、その有効期限は講習の日から5年間となっていました。
今回はこの有効期限について改正が行われ、講習受講した翌年の1月1日から5年間となりました。
例えば 平成30年8月20日に講習を受講した人は、平成31年も1月1日から起算して5年間、令和5年の12月31日まで有効ということ
これまでは、建設業法上の専任の監理技術者として配置可能な期間とのずれが生じていましたが、今回の改正でこのずれが解消したことになります。
ワーク・ライフ・バランスに関する取り組み状況について
こちらは、新設された審査項目になります。
最近よく言われているいわゆる「働き方改革」というもので、女性を含めた若い世代のサポートを行い、担い手の確保に努めましょうという内容です。
以下の認定を受けている場合には、加点の対象となります。
- えるぼし認定
- くるみん認定
- ユースエール認定
「えるぼし認定」とは、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づき、一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況などが優良な企業を認定する制度です。
「くるみん認定」とは、「子育てサポート企業」を厚生労働大臣が認定す制度です。次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を作成した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業は、申請を行うことでこの認定を受けることができます。
「ユースエール認定」とは、若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度です。
これらの認定はいずれも、厚生労働省が管轄となっています。
建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況
建設工事の担い手の育成・確保に向けて、技能労働者等の適正な評価をするためにCCUS(建設キャリアアップシステム)を活用し、就業履歴蓄積のために必要な環境を整えましょうというものです。
審査対象工事は以下の①~③を除く審査基準日以前1年以内に発注者から直接請け負った建設工事
①日本国内以外の工事
②建設業法施工令で定める軽微な工事
③災害応急工事
該当措置として①~③すべてを実施している場合に加点
①CCUS上での現場・契約情報の登録
②建設工事に従事する者が直接入力によらない方法でCCUS上に就業履歴を蓄積できる体制の整備
③経営事項審査申請時に様式第6号に掲げる誓約書の提出
この項目は、審査対象工事のうち、民間工事を含むすべての建設工事で該当措置を講じた場合と、公共工事のみで該当措置を実施した場合とでは前者の方が、高い配点を得られるようにっています。
また、こちらの項目は令和5年8月14日以降を審査基準日とする申請で適用することになっています。
建設機械の保有状況
現在加点対象になっているものに加えて、今回の改正でいくつかの建設機械が追加されました。
- ダンプ(土砂の運搬が可能なすべてのダンプ)
- 締固め用機械
- 解体用機械
- 高所作業車(作業床の高さ2m以上)
これまで実際の災害現場において活躍していたにもかかわらず、経営事項審査の加点対象となっていなかったものが、今回の改正で適正に評価されることになりました。
国または国際標準化機構が定めた規格による認証又は登録の有無
今回の改正で、「エコアクション21」の認証取得状況が加点対象となりました。
環境配慮に関する国際標準化機構のISO14001規格を参考に、国が定めた認証制度です。
エコアクション21とISO14001は両方とも環境配慮に関する認証ですが、両方取得している場合に点数が合算されることはありません。つまり、通常は配点の高い、ISO14001の方で評価されるということになります。
経営事項審査のご相談は当事務所へ
建設業関係の手続では、法改正が頻繁に行わっれており、令和5年の1月からは電子申請も始まりまりました。
経営事項審査をはじめ、建設業関係の手続でお困りの方は、佐賀建設業許可相談室へお気軽にご相談ください。
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